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「十思」・「九徳」

君道第一・第四章に掲載されている魏徴の「私が、古来からの創業の天子や帝位の継承者の英雄豪傑を統御し、天子の位について民を治めた者を観察致しますに・・・」とつづく長い文章に記載されている”統御への基本的心構え”である「十思・九徳」の二つをまとめてみました。

現代だと電通の”鬼十則”のような感じもしますが、守成の持続と維持の方法は、まず「創業的体制」を「守成的体制」に切り替えなければならない。だが、このこと自体がすでに問題であるという。そこで以下にあげる「十思・九徳」の観点から、リーダーはこの十思で自ら統御し、部下の九徳を弘め、能力のある者を適材適所で任じ、善い者・正しい者の言葉で身を正せば、全員がその能力を喜んで発揮するでしょうとしている。

このような言葉の力は絶大だとつくづく感じます。

十思

1 欲しいと思うものを見たら、足る事を知り自戒する事を思う
2 大事業をしようとする時は、止まる事を知り民の安楽を思う
3 高ころびしそうな危ない事を考える時は謙虚に自制する事を思う
4 満ち溢れるような状態になりたいと願望が起これば、
  老子の『江海の能(よ)く百谷の王たる所以は、其の善く下るを
  以ってなり』で、満ち溢れる海はすべて川より低い事を思う
5 盤遊(遊び)したいと思うときは、必ず限度をわきまえ、
  狩のとき『三駆以て度となる』。すなわち一方に逃げ道を
  用意してやるのを限度とする事を思う
6 怠け心が起こりそうだと思えば、始めを慎重にして
  終わりを慎む事を思う
7 自分の耳目を塞がれているのではないかと心配ならば、
  虚心、部下の言葉を聞く事を思う
8 中傷や讒(ざん)言を恐れるなら、まず自ら身を
  正して悪を退ける事を思う
9 恩恵を与える時は喜びによって賞を誤る事が無いように思う
10 罰を加えようとするときは、怒りによって
   重すぎる罰にならないように思う


裏返しを考えてみると明瞭になる十不思

1 欲しいとなれば、前後の見境なくやみくもに欲しがる
2 企画を思いつくと社員のことなど忘れて突っ走る
3 名誉職を高望みして自分の位置を忘れる
4 まだ足りぬ、まだ足りぬ、と上へ上へと事業を拡張して
  破綻し、静かに、低く堅実にやっていればそうなることを忘れる
5 遊び出すと限度なくそれに溺れ
6 軽率に始めてすぐいやになって関心を失い、
  終わりを全うせず放り出してしまう
7 おだてられて耳目を塞がれていることを思わず、
  部下の直言に耳を貸そうとしない
8 中傷や告げ口に楽しそうに耳を傾け、厳然たる態度で
  そういうことを言わせないという態度がない
9 恩恵を与える時は喜んで無茶な恩恵を与え
10 罰するときは怒り狂って罰に限度がない


九徳

1 寛にして栗 : 寛大だが、しまりがある   
2 柔にして立 : 柔和だが、事が処理できる
3 愿にして恭 : まじめだが、丁寧でつっけんどんではない
4 礼にして敬 : 事を治める能力があるが、慎み深い
5 擾にして毅 : おとなしいが、内が強い
6 直にして温 : 正直・率直だが、温和である
7 簡にして廉 : 大まかだが、しっかりしている
8 剛にして塞 : 剛健だが、内も充実している
9 彊にして義 : 強勇だが、義(ただ)しい


裏返しを十八不徳としている

1 こせこせうるさいくせに、しまりがない   
2 とげとげしいくせに、事が処理できない
3 不真面目なくせに尊大で、つっけんどん
4 事を治める能力がないくせに、態度だけは居丈高
5 粗暴なくせに、気が弱い
6 率直にものを言わないくせに、気が弱い
7 何もかも干渉するくせに、全体がつかめない
8 見たところ弱弱しく、内もからっぽ
9 気の小さいくせに、こそこそ悪事を働く